ボードゲーム レビュー

【評価/感想】パンデミック:レガシー シーズン0

ボードゲーム界でも名高い超名作『パンデミック』シリーズのレガシー作品、『パンデミック レガシー:シーズン0』をプレイしました!

『パンデミック』は、プレイヤー同士が協力して世界中に広がる病原体の拡散を食い止め、ワクチンの開発や治療を進めながら人類を救う協力型ボードゲームの金字塔。各プレイヤーが異なる役割を担い、限られたアクションの中で世界各地を移動しながら感染を抑えていくシステムは、現在では「パンデミック系」と呼ばれるほど、多くの協力型ボードゲームに影響を与えています。

『パンデミック レガシー:シーズン0』でも、世界各地を移動しながら危機の拡大を防いでいく基本システムは健在。ただし、舞台となるのは病原体が蔓延する現代ではなく、冷戦下の世界です。プレイヤーはスパイとなり、世界を脅かす勢力の活動を追いながら情報を集め、迫り来る危機を阻止していきます。おなじみの『パンデミック』をベースにしながらも、世界観は大きく変化しており、「病原体を治療する」のではなく「スパイとして暗躍する」という設定が、本作ならではの魅力になっています。

さらに本作最大の特徴が「レガシーシステム」。全12回のキャンペーンを通して1年間の物語を体験していき、各プレイの結果やプレイヤー自身の選択が、その後のゲームや物語に影響を与えます。つまり、前のプレイで起こった出来事が次のプレイに引き継がれていくため、自分たちが実際にプレイした結果によって、そのグループだけの物語が作られていくわけです。一度しか遊べないという制約があるからこそ、1回1回のプレイを雑にはできない緊張感があります。

難易度は「やや難しい」です。『パンデミック』をプレイしたことがある方ならスムーズに入りやすく、初心者でも慣れながら十分に挑戦できる難易度だと思います。ただし、序盤でクリア状況が芳しくないと後半の進行が極めて難しくなるため、一度きりのレガシー作品という性質を考えると、事前に通常の『パンデミック』シリーズを遊んで、基本的なシステムに慣れておくとより楽しみやすいでしょう。

そして実際にプレイしてみると、レガシーシステムによって「次に何が起こるのか分からない」という物語への没入感が非常に強く、気が付けば本当に冷戦下の世界でスパイとして活動しているような感覚に。自分たちの選択やプレイ結果が次の展開へ影響するため、普段のボードゲーム以上に1プレイ1プレイを真剣に考えてしまいます。

不朽の名作『パンデミック』をベースにしながら、レガシーならではの一度きりの体験と物語性を加えた本作。「自分たちの手で1年間の物語を作っていく」という感覚が非常に面白く、最後まで世界観に没入して楽しめた作品でした。

世界は危機に瀕しており、時は刻々と過ぎつつある…。

1962年。冷戦の真っただ中だ。我々は多くの方面でソビエトと戦っている。
今、奴らは新たな兵器ーー勢力の均衡を変化させ、
未曾有の大殺戮を引き起こしかねない未知の病原体の開発に取り組んでいる。

諸君を訓練したのはこのためだ。
CIAが諸君を採用したのはこのためだ。
慎重に築き上げられた偽造身分を使って世界中を飛び回り、
敵を追い詰めて奴らの秘密を明らかにせよ。
これは諸君の経歴で最も重要な任務となるだろう。
世界の均衡は危ういところにあり、残された時間は少ない。

パンデミック:レガシー シーズン0 | ANALOG GAME INDEX

”実際のプレイデータ“、評価”、そして”プレイの感想”を共有したいと思います!

ぼどわん

ぼどわん(当サイトの運営者)

  • 一般企業勤めの20代後半
  • 協力系ボードゲーム、謎解き大好き!
  • 負けず嫌いなので対戦系はほどほどに…(笑)
  • 100種類以上のアナログゲームを保有、順次紹介!

パンデミックの紹介記事、遊び方に関してはコチラから!

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実際のプレイデータと評価

まずは、実際のプレイデータと評価を記載していきますね!

本作『パンデミック:レガシー シーズン0』は、2020年に発売された『パンデミック』シリーズのレガシー作品です。シリーズおなじみのパンデミックシステムをベースにしながら、レガシーシステムによってプレイ結果が後のゲームへ引き継がれていく、協力型ボードゲームとなっています。

世界最大級のボードゲーム情報サイト「BoardGameGeek(BGG)」のランキングでは、約3万作品が掲載される中で60位(2026/9現在)にランクインしており、協力型ボードゲームの中でも非常に高い評価を受けている作品です。

作品名 パンデミック:レガシー シーズン0
プレイ人数 2~4人
プレイ時間 60分/1プレイ
ジャンル パンデミック型:カード、協力
プレイ方式 レガシー型
メーカー価格 9,900円(2026/6現在)
関連作品 15作品
BGG ranking Rate 7.735:rank:60位/31335 (2026.9)
商品リンク Amazonリンク

プレイデータ(人数、時間)

本作では、全12回のキャンペーンを通じて物語が完結します。ゲーム内では4月から翌年3月までの1年間を舞台としており、1回のプレイごとに1か月ずつ物語が進んでいく形式です。

私たちは実際のカレンダーとは関係なく、12回のキャンペーンを順番にプレイしました。その結果は以下の通りです。

プレイ詳細

  • プレイ人数:2人
  • プレイ時間:17時間20分(1プレイ約90分)
  • プレイ回数:全12回(失敗無し)
    5月:充足評価、5月以外:成功評価
    クリアスコア:1000
  • プレイ期間:約10ヶ月(2024年7月~2025年4月)

パンデミックレガシーシーズン0の個人的評価

実際にプレイしてみて、『パンデミックレガシーシーズン0』の評価はコチラの通りになります!

プレイ評価

盛り上がり:5
難易度:4
知略:4
運要素:2
コスパ(ボリューム/時間):3
おすすめ度:5

『パンデミック:レガシー シーズン0』は、世界的な名作ボードゲーム『パンデミック』をベースとした、協力型のレガシーボードゲームです。

『パンデミック』をベースとしながら、本作では冷戦下の世界で活動するスパイという大きく異なる世界観が採用されています。プレイヤーは世界を脅かす勢力の活動を追い、各地で情報を集めながら迫り来る脅威を阻止していきます。おなじみのパンデミックシステムを踏襲しつつも、「病原体を治療する」のではなく「スパイとして暗躍する」という設定が、本作ならではの魅力です。

そして本作最大の特徴が、全12回のキャンペーンを通して物語を進めるレガシーシステム。ゲーム内では4月から翌年3月までの1年間を舞台としており、1回のプレイごとに1か月ずつ物語が進んでいきます。さらに、各プレイでの選択や結果が後のキャンペーンに引き継がれるため、プレイヤー自身の行動によって物語やゲーム展開が変化していきます。そのため、通常のボードゲームとは異なり、「自分たちがプレイした結果によって、自分たちだけの物語が作られていく」という感覚を強く味わえます。一度プレイしたゲームを同じ状態でやり直すことはできないため、1回1回のプレイを雑にはできない独特の緊張感も本作の魅力です。

難易度は「やや難しい」程度。『パンデミック』をプレイした経験があればスムーズに入りやすく、ボードゲーム初心者でも十分に挑戦できる難易度だと思います。ただし、本作は一度きりのレガシー作品なので、できれば事前に通常の『パンデミック』を遊んで基本システムに慣れてから挑戦すると、より楽しみやすいでしょう。

また、ゲーム中にはカードの引きや各種イベントなど、ある程度のランダム要素も存在します。状況によっては計画通りに進まないこともありますが、それも含めて「この先どうなってしまうんだ……?」という物語への没入感につながっています。自分たちの選択とランダムな展開が組み合わさることで、先の展開を知っているだけでは味わえない、初回プレイならではの緊張感があります。

【おすすめ度:5】とした理由は、何よりもレガシーシステムによって生まれる物語への没入感と、パンデミックならではのゲーム性のバランスが非常に良かったことです。

名作と知ったうえで購入したため、もともと期待値はかなり高かったのですが、その期待を裏切ることなく、とっっっても楽しくプレイできました。全12回のキャンペーンを最後までクリアしたときの達成感はもちろん、「もうこの物語を最初からプレイすることはできない」というレガシー作品ならではの切なさまで感じられます。

特に、冷戦下でスパイとして活動するという設定が非常に魅力的。物語が進むたびに「この先どうなってしまうんだ……?」という気持ちにさせられ、気が付けば本当に自分たちがその世界で活動しているような感覚になっていました。

プレイの感想(ネタバレなし)

さて、本ゲームのプレイ感想に移ります。

本作品の個人的に感じた良い点と悪い点を挙げていきます。

GOOD!

  • レガシーシステムならではの緊張感
  • 何が起きるかドキドキの物語

BAD…

  • 特になし!

〇:レガシーシステムならではの緊張感

本作はレガシー型の作品なので、全12回のキャンペーンを通して物語を進めていくことになります。

各キャンペーンでは複数のミッションが課せられ、「成功」「充足」「失敗」の3段階で評価されます。すべての達成を狙うこともできますが、無理をすれば次のキャンペーンに悪影響が残る可能性もあるため、安全に「充足」を狙うのか、リスクを取って「成功」を目指すのかという判断が重要になります。

さらに、レガシー要素によって自分たちの選択や評価だけでなく、盤面の状態そのものも次のキャンペーンへ引き継がれます。エージェントが使用不能になったり、監視が強化されて立ち入りにくい区域が増えたり、病原菌によって移動が困難になったりと、現在のプレイで負った不利益が後々まで影響することもあります。

そのため、「このキャンペーンをどう攻略するか」だけではなく、「この先のキャンペーンまで考えたうえで、今どの選択をするべきか」を常に考えながらプレイすることになります。

しかも、パンデミックらしく運要素もあるため、すべてが思い通りに進むわけではありません。刻一刻と変化する状況の中でパートナーと相談しながら最善の選択を探し、なんとかミッションを達成できたときの喜びはひとしおでした。

そして何より、物語や選択の結果は一度きりの体験。「この選択で本当に大丈夫なのか?」という緊張感を12回にわたって味わえることこそ、本作最大の魅力だと感じました。

〇:物語の結末はプレイヤー次第

魅力的なのは、ゲームバランスやレガシーならではの体験だけではありません。本作は物語も非常に面白かったです。

本作では、エージェントとして敵国の暗躍を止めるために活動しながら、さまざまな情報を入手していきます。ただし、レガシーシステムによって自分たちの選択やミッションの成否によって、その後の物語が分岐していくため、最初からすべての情報を知ることはできません。手に入れた情報が何を意味しているのか分からないまま、後になって「あれはそういうことだったのか」と繋がってくることもあります。

この「自分たちが知っている情報だけを頼りに判断する」という感覚が、まさにエージェントとして活動しているようで非常に面白かったですね。

本作は『パンデミック:レガシー シーズン1』『シーズン2』の前日譚にあたりますが、独立した物語として楽しめます。舞台は冷戦時代で、CIA所属の訓練生であるプレイヤーたちが、ソ連による大量殺戮兵器の情報を入手し、その脅威を阻止するために活動します。

さらに、スパイが暗躍する時代だからこそ、「誰を信じればいいのか分からない」状況が物語の中でも描かれます。組織の中にスパイがいることを疑わされたり、敵側に潜入していた人物が味方になったり、思わぬ人物が協力者だったりと、プレイヤー自身も何を信じればいいのか分からなくなっていきます。

それでも、手元にある情報だけを頼りに自分たちで選択しなければならない。そうしてエージェントの一人として、自分たちだけの物語を綴っていく感覚が、本作の大きな魅力だと感じました。

プレイの感想(ネタバレあり)

次はネタバレを含めながら感想を伝えていきます。

『パンデミック:レガシー シーズン0』の物語

まずは、本作の魅力のひとつである物語について、ネタバレを含めながら感想を紹介していきます。

本作の物語で中心となるのは、新人エージェントであるプレイヤー、CIAの上司クープ、そしてクープの元教え子であるサビクの3人です。

プレイヤーは新人エージェントとして、クープの指令を受けながら、世界を脅かす大量殺戮兵器の開発を阻止するため、さまざまな任務に挑んでいきます。ソ連側に潜入しての情報収集や妨害工作など、仲間たちと協力しながら任務を遂行していくわけですが、物語が進むにつれて、単純な「CIA対ソ連」という構図だけでは語れない、クープとサビクの因縁が浮かび上がってきます。

サビクは、かつてクープの教え子としてCIAのエージェントを務め、ソ連側に潜入していた人物です。しかし、諜報員であることが発覚してソ連側に拘束され、拷問や人体実験を受けることに。それでも命からがら脱走したサビクは、ソ連側で得た重要な情報を持つ人物として、再びプレイヤーたちの前に現れます。

ところが、ここで一筋縄ではいきません。

クープからすれば、サビクは一度ソ連側に捕らえられた人物。本人が脱走したと主張していても、本当に裏切っていないのか、それともソ連側が仕掛けた罠なのか、疑念を拭いきれません。そのため、サビクとの接触や情報共有には厳しい制限が設けられます。

一方、サビクもクープに対して強い不信感を抱いています。ソ連側に捕らえられていた間に救出されなかったこともあり、クープを信用していないのです。さらには「クープを信用するな」とプレイヤーに警告してくるため、新人エージェントであるプレイヤーは、まさに板挟みの状態に!

クープを信じるのか、それともサビクを信じるのか。

この展開が、本作の物語で特に面白かったところです。

というのも、どちらか一方を信じればすべてが解決するわけではありません。両者から与えられる情報は本当に正しいのか。その情報を信じることが、世界を救うために、そして自分たちにとって本当に正しい選択なのか。プレイヤー自身が何度も判断を迫られます。

普通のボードゲームなら、攻略に必要な情報を集め、それをもとに最善の行動を考えるのが基本です。しかし、本作では、そもそも「その情報を信じていいのか?」というところから考えなければなりません。情報を集めるだけでなく、情報そのものの信頼性まで疑わなければならないのです。

しかも、こうした選択は単なる会話上の分岐にとどまりません。プレイヤーの判断によって、その後の物語やミッションの展開も変化していきます。もちろん、ミッションそのものの成否もキャンペーンの進行に影響するため、物語を読み進めるだけではなく、自分たちの選択と行動によって物語を紡いでいく感覚を味わえます。

誰が味方なのか、何を信じるべきなのか。それすら分からない状況で、限られた情報を頼りに決断していく。まさに、冷戦下のスパイ映画さながらの緊張感です。

新人エージェントとして世界を救うだけではなく、登場人物たちの思惑に翻弄されながら、自分たち自身で判断し、物語を作り上げていく。この「何を信じ、どの道を選ぶのか」という葛藤こそ、本作のストーリー面で特に魅力的な部分でした。

『パンデミック:レガシー シーズン0』のルール変更点

本作は、従来の『パンデミック』のゲームシステムを踏襲しつつ、レガシーシステムをはじめとする独自の要素が多数追加されています。各要素の詳細については、以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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『パンデミック:レガシー シーズン0』のプレイ感

今回は2人でプレイしました。通常版の『パンデミック』も2人で遊んだ経験があるため、基本的なルールはある程度理解した状態でのスタートです。

とはいえ、本作では基本セットからのルール変更に加え、レガシーシステムによって盤面の状態が次回以降に引き継がれたり、キャンペーンごとに新たなルールが追加されたりします。シリーズ経験者とはいえ、そう簡単には攻略できない、ひと筋縄ではいかない戦いの幕開けです!

アバターの作成

まずはゲームの準備から始めます。プレイヤーはCIAのエージェントとして活動するため、身分を偽装するための「工作員パス」を作成します。これが表向きの身分証となり、身元を隠しながら任務にあたるわけです。

パスにはいくつかのパーツシールが用意されており、顔や髪型などを自由に組み合わせて、自分好みにカスタマイズできます。いわば、ゲーム内で使うアバターのようなものですね。思っていた以上にパーツが充実しているので、なかなか個性的なエージェントを作れます。

ちなみに、私はこんな感じにセッティングしました!

序盤キャンペーンの進行

序盤のキャンペーンは、通常版の『パンデミック』を未プレイの方でも、ルールを覚えながら進められるような難易度になっています。ミッションも比較的あっさりとクリアできるため、まずは本作の基本的な遊び方に慣れていく段階といえるでしょう。

とはいえ、簡単だからといって物足りなさを感じることはありませんでした。本作はレガシーシステムを採用しているため、今後のキャンペーンで不利にならないよう、既プレイの私たちも毎回のミッションを丁寧に進めました。細かなルールや今後への影響を確認しながら、二人でじっくり相談してプレイしたこともあり、毎回しっかりとした緊張感がありました。無事にミッションを達成できたときの安堵感もひとしおです。

また、東西冷戦時代が舞台の本作では、ゲーム中に敵の工作員を次々と排除していく一方、物語の中では敵側の情報を集める諜報活動も進んでいきます。プレイを重ねるごとに機密情報の資料が蓄積されていきますが、中には何に使うのか分からないものも。実は、こうした資料の中には、情報をかく乱するためのダミーや、一見すると不要そうでも後々の攻略で重要になるものが含まれています。単に敵を排除するだけでなく、情報の真偽を見極める必要があるところにも、スパイ活動を題材にした本作ならではの面白さが感じられました。

さらに特徴的なのが、各プレイの開始時や終了時に、CIA職員からさまざまな質問やカウンセリング(?)を受けることです。回答を通じてエージェントとしての適性や傾向が判断され、その結果に応じてプレイ中に支援を受けられたり、反対に何らかの制限が課されたりします。

正直なところ、最後までどのような回答が正解なのか分からなかったため、私はあくまで自分の考えを貫いて回答しました。その結果、ときには思わぬ制限が課された状態でミッションに挑むことも……。エージェントの育成も大切なのは分かりますが、こちらは世界の命運が懸かった任務の真っ最中! 「育成よりも世界平和を優先しなさい!」と思わずツッコミを入れたくなりましたね。

プロローグから1月~4月までのキャンペーンには、それぞれ2つのミッションが用意されています。私たちはすべてのミッションを成功させ、各キャンペーンで評価「成功」を獲得できました。通常版の『パンデミック』をある程度プレイした経験があれば、序盤は比較的危なげなく進められる印象です。ただし、レガシーシステムによって今後どのような変化が起こるのか、まだ分からないことも多く、先を見据えて慎重に進めたくなる序盤戦でした。

お灸をすえられた中盤戦

さて、ここまで順調に成功を勝ち取っていた序盤戦ですが、中盤戦に差し掛かる5月のプレイではなんとミッションが2つから3つに増加します。ミッションはすべて成功しなければ「成功」評価になりません。1つ、2つの成功は「充足」評価、いずれも成功しないと「失敗」評価となります。

本作では、できれば毎回「充足」以上の評価を狙いたいところですが、「成功」評価を目指すとなると、3つのミッションを1つずつ順番にこなしていては到底間に合いません。複数のミッションを同時並行で進める必要があり、あれもこれもと手を広げた結果、すべてが中途半端になって失敗の影が忍び寄る……。そんな難しさがあります。

5月は初めて3つのミッションに挑戦することになりましたが、これまでと同じ感覚で進めていては、まったく歯が立ちませんでした。「充足」評価に必要な2つのミッションは達成できたものの、残るミッションはあと1つ。しかし、プレイはすでに後半戦に差し掛かっています。『パンデミック』を遊んだことがある方なら分かると思いますが、終盤になると盤面の処理が追いつかず、ある程度リスクを取ってでも攻めなければならない場面が出てきます。

しかも、本作はレガシーシステムを採用しているため、今回のプレイで生じた不利な状況が、その後のキャンペーンにも影響しかねません。特に厄介なのが、本作独自の「監視」システムです。事件(通常版の『パンデミック』におけるアウトブレイクに相当)が発生した都市には監視マークが置かれ、その都市で手番を終えると、パスポートのカバーを1つ以上失ってしまいます。

さらに厄介なのは、都市に置かれた監視マークが以後のキャンペーンにも引き継がれること。プレイを重ねるほどマップ上の監視マークが増えていき、手番を終える場所にも大きな制約が生じます。そして、カバーを10個すべて失うと、そのパスポートは使用できなくなります。カバーを失う過程でデメリットのある能力「重荷」が発動することもあるため、できることなら被害は最小限に抑えたいところです。

残るミッションを達成するには、こうしたリスクを抱えながら盤面を立て直す必要があります。しかし、全12回のキャンペーンも、まだようやく中盤に差し掛かったところ。ここで無理をして、今後のプレイにまで悪影響を残すのは避けたい……。

そう考えた私たちは、今回は3つ目のミッションを諦め、残された時間を盤面の立て直しに充てることにしました。目の前のミッションを達成することだけが正解ではなく、今後のキャンペーンを見据えて、あえて撤退する判断も必要になる。こうした単発のボードゲームでは味わいにくい「戦略的撤退」も、レガシーシステムならではの面白さだと感じました。

5月以降のプレイは、通常版の『パンデミック』を経験した方でも、かなり歯ごたえを感じられる難易度になってきます。戦略上のミスが大きな損失につながり、目の前のミッションだけでなく、今後のキャンペーンへの影響まで考えなければなりません。東西冷戦を舞台にした物語の緊張感と、失敗が許されないゲームプレイの緊張感が見事に融合しており、序盤とはひと味違う手に汗握る展開を楽しめました。

プレイは終盤戦。壮絶な戦いに。

8月以降になると、ミッションが3つあるプレイにも徐々に慣れてきました。単純に任務をこなすだけであれば、じっくり考えることで「成功」評価を狙えるようになり、実際に5月に「充足」評価となった以外は、その後も「成功」評価を勝ち取り続けていました。

しかし、そんな余裕のある状況がいつまでも続くわけではありません。これまでのプレイで都市の監視マークが徐々に増えているうえ、さらなる厳しいルールが追加され、私たちに甘えを許してはくれません。そこで登場するのが、「疫病・汚染」や「衛星」といったルールです。

「疫病」と聞くと、通常版の『パンデミック』を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、本作の疫病はひと味違います。疫病が蔓延する都市を通過すると、使用中のエージェントが感染してしまうのです。感染すると貴重な手札に疫病カードが加わり、手札枠を1枚圧迫するという厄介なペナルティが発生します。手札の余裕がなくなるだけでなく、感染を避けるために移動ルートまで考えなければならず、行動の自由が大きく制限されます。

さらに追い打ちをかけるのが、続いて追加される「衛星」のルールです。エリア全域に影響を及ぼすカードで、いわば都市単位の「監視」がエリア単位にまで広がったようなもの。影響を避けるには隠れ家に入る必要があり、これまで以上に移動先や手番を終える場所に気を配らなければなりません。

こうした厳しいルールによって移動の自由が奪われていく一方、ミッションの難易度も上がっていきます。制限だらけの状況で、より難しくなった任務をこなさなければならないのです。

私自身、レガシー作品とはいえ、不可逆的な変化を伴う要素には少し抵抗があります。できることならパスポートのカバーも失いたくありません。単純に「重荷」によるデメリットを避けたいのはもちろんですが、苦労して強化してきたエージェントのパスポートが使えなくなれば、戦力が大きく低下し、一気に防戦一方になってしまう可能性もあります。

そのため、厳しい状況では「充足」評価で妥協することも視野に入れながら、慎重にプレイを進めました。それでも、ミスが許されない緊張感の中で幸運にも恵まれ、なんとか「成功」評価を勝ち取り続けることができました。ルールが追加されるたびに攻略の難しさが増していく展開は、まさにレガシー作品ならではの醍醐味ですね。

プレイだけではなく物語も佳境に

本作の魅力は、レガシーシステムによってプレイ状況が引き継がれ、ゲーム環境が変化していくことだけではありません。物語の進行にも独自の仕組みがあり、こちらも非常に面白い要素となっています。

プレイの前後に行う選択やミッションの達成状況によって物語が分岐し、諜報活動を通じて得られる情報にも違いが生まれます。さらに、入手できる機密資料には、一部が暗号化されていたり、意図が読み取りにくかったりするものもあります。中にはダミーの情報も紛れているため、手元に集まった資料を整理しながら、ソビエト側が何を企んでいるのかを解き明かしていく必要があるのです。

そして物語が終盤に差し掛かると、数々の任務をこなしてきた優秀なエージェントである私たちに、CIA職員から今後の方針を左右する重要な問いが投げかけられます。これまでに集めた情報や、それまでの選択を踏まえて、私たちはどのような判断を下すのか。単にミッションをクリアするだけでなく、物語の謎を解き明かし、自分たちの判断でその行く末を左右していく点も、本作の大きな魅力です。

『パンデミックレガシー:シーズン0』の結末

ここからは、私たちが実際にプレイしたキャンペーンの結末を紹介していきます。

本作は、ミッションの達成状況やプレイ中の選択によって、得られる情報や物語の展開、最終的な結末が大きく変化します。あくまで私たちのプレイでたどり着いた一例となりますが、どのような結末を迎えたのか、振り返っていきたいと思います。

サビクを信じろ!

物語の中でも大きな意味を持つのが、CIAの上司「クープ」と、元CIA職員「サビク」の関係性です。長いキャンペーンも残りわずかとなった11か月目に、ついにどちらを信じ、どちらの側につくのかという重大な判断を迫られます。

物語が進むにつれて明らかになるサビクの過去は、あまりにも悲惨なものでした。ソビエト側に潜入したものの捕縛され、拷問を受けることに。それでもクープは、彼からソビエト側の情報を得られる可能性があるとして救出せず、サビクは過酷な人体実験を受け続けていたのです。こうした経緯を知ると、サビクに対する見方も大きく変わってきます。

ぼどわん

サビクが外見を隠し、常に全身を覆うような厚着でいた理由も壮絶だったね。

私の中では、すでに意志は固まっていました。サビクを信じて仲間になる道を選び、クープには偽の情報を流し続けることにしたのです。とはいえ、プレイ中は本当にこれでよかったのかと不安になる場面もありました。選択によって物語が悪い方向へ進んでいるのではないか、実はサビクこそ敵側に寝返っているのではないか……。そんな疑心暗鬼に駆られながらも、一度決めた以上、もう後戻りはできません。

私たちの判断は功を奏し、最終的にはサビクを信じたことで、個人的には最も「True End」に近いと感じられる結末にたどり着くことができました。

それまでのミッションを順調に遂行してきたことも功を奏し、ソビエトを打倒して世界平和を実現。さらに、サビクが持つ裏の情報を活用することで、腐敗したCIAの実権を握るという、既存の体制に縛られない自由な結末を迎えました。

圧倒的エリートエージェントに

物語の結末を迎えたら、それで終わり……ではありません。本作では、エージェントとしての優秀さを評価する最終スコアも用意されています。

スコアは、各キャンペーンで獲得した「成功」「充足」「失敗」の評価に加え、ソビエト側の情報を正しく読み解き、作戦を的確に妨害できたか、さらに暴露・汚染された都市の数などによって決まります。ミッションをクリアするだけでなく、諜報活動の成果やプレイ中の被害まで評価対象になるわけです。

私たちの最終スコアは、なんとジャスト1000点! 運にも恵まれ、かなり厳しい盤面もなんとか切り抜けられましたし、ミッションも全体的にうまく立ち回れた印象です。最高ランクの条件は800点以上なので、余裕をもって条件を満たすことができました。これなら超優秀なエージェントを名乗ってもよさそうですね!

一方、最低ランクは200点以下。普通にプレイしていれば、なかなか到達しないスコアだと思いますが、気になってそのランクを獲得したエージェントの結末を確認してみると……まさかの抹殺!

世界を救うために奔走したはずが、エージェントとしての評価が低ければ最後には消されてしまうとは、なんとも恐ろしい世界です。冷戦時代のスパイらしい容赦のなさに、思わずゾッとしてしまいました。こうした細かな結末まで用意されているのも、本作の面白いところですね。

まとめ

長きにわたる全12回のキャンペーンとプロローグを経て、私たちの戦いは無事に世界平和という結末を迎えました!

毎回かなり真剣に、緊張感を持ってプレイしていたこともあり、連続して遊ぶのではなく、まとまった時間を確保できるときに少しずつ進めていきました。その結果、クリアまでにかかった期間は約10か月。長丁場ではありましたが、最後まで飽きることなく楽しめたのは、それだけ本作の物語やゲームシステムに夢中になれたからだと思います。

本作は、一度きりの体験を前提に設計されたレガシー作品です。ゲーム中にコンポーネントを加工・破壊する要素もあるため、工夫すれば再利用できる部分もありますが、基本的には同じ状態から繰り返し遊ぶことを想定した作品ではありません。価格も決して安くはないため、購入をためらう方もいるかもしれません。

しかし、世界中のボードゲームが集まるBGGランキングで、約3万作品の中から70位(2026年10月現在)にランクインしていることからも、その評価の高さがうかがえます。実際に最後までプレイしてみて、私自身も期待を上回る面白さを感じました。

そもそも、通常のボードゲームでも同じ作品を13回も遊ぶ機会は、そう多くないのではないでしょうか。本作はキャンペーンを通じて物語やルールが変化し、次々と新たな展開が待ち受けています。そのため、約10か月にわたるプレイでも中だるみすることなく、最後まで物語の行く末を見届けたいと思えました。一度きりの体験ではありますが、13回にわたって濃密なゲーム体験を楽しめることを考えると、価格に見合う価値は十分にあると感じています。

協力型ボードゲームが好きな方はもちろん、ストーリー性のある作品や、プレイを重ねることでゲームそのものが変化していくレガシー作品に興味がある方にも、ぜひ遊んでみてほしい一本です!

ちなみに、私は本作『パンデミック:レガシー シーズン0』だけでなく、『シーズン1』『シーズン2』も購入済み。ただ、こちらはまだ積みゲームになっています。次なる戦いの舞台へ向かう日を楽しみに、時間が取れたらじっくりプレイしていきたいと思います!

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ぼどわん

二人協力ゲーム専門のレビューブログ
年齢:20代後半
職業:普通の会社員×2
好物:ジャンル問わず協力型
互いに負けず嫌いで対戦ゲームNG…!?
そんな二人の実体験ゲームレビュー&紹介


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